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バナナ 2022年7月9日ポレポレ俳句部




7月は、楽来さんによる作品紹介です。

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今回は当日参加者が、講師の薬夏さん、初参加のくぅちゃんさんを含めて6名、欠席投句が2句の、合わせて8句の俳句が集まりました。

7月の題詠は「バナナ」もしくは「当季植物のどれか」です。

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バナナ

【子季語】実芭蕉 【解説】バショウ科の多年草で、高さは2~5メートルにもなる。果段につける十数個の果実をも指す。熱帯アジア、マレーシア原産。生産地は台湾、インド、ブラジル、フィリピン、エクアドル、アフリカ諸国など。日本には明治に移入。 【科学的見解】バナナは、熱帯地域の有用果樹であるため、生食用や加熱料理用など様々な品種が作出されている。バナナは、一年半ほどで果実がみのり、その後は親株の周りに子株ができ、それらが次の繁殖体となって増えていく。日本の本州や九州の野外で見られるバナナに似た葉をしている植物は、バナナの仲間で耐寒性のあるバショウという植物である。バショウは、果実が大きくならず種子がたくさんできる。日本でのバナナの生産は、亜熱帯地域の沖縄や小笠原地域で栽培されている。(藤吉正明記)

引用:きごさい歳時記

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今回の作品


当日の発表順に作品を紹介し、私、モンキーバナナ改め楽来が、鑑賞での皆様の感想をヒントに簡単なコメントを付したいと思います。



バナナ食いおさるの気持ち解り得た (くぅちゃん)

くぅちゃんさんは今回が初参加、俳句を作るのも初めてだとのこと。まずは勇気を出して来て下さったことに感謝します。俳句の方は「ちゃんと五・七・五になっていることだけで立派です」と薬夏さん。私の感想は一言で言うと「かわいいです」。「食べ」ではなく「食い」となっているところ、「分かり」ではなく「解り」という表現もいい、という意見も出ました。ぜひぜひこれからも参加していただけるとうれしいです。



左手にバナナを握る阿形像 (松竹梅)


阿形像(あぎょうぞう)って何だ?その場で皆で調べてみました。私は、家に帰ってからも、金剛力士像について勉強しました。阿形像の力強さとバナナの粗野なイメージがマッチしていておもしろいぞ。また左手のことを弓手(ゆんで)、右手のことを馬手(めて)ともいうらしい。勉強になりました。



店頭のバナナ近縁かもしれぬ (紙の舟)


紙の舟さんは、初めに発表した句が難解なもので、参加者がどうもピンとこなかった。そこで、ボツにしていた句をいくつか披露していただいた。そこにあったのがこの一句。これはすごいぜ。「近縁」という言葉のチョイス、「かもしれぬ」という着地のしかた、目の前のバナナから、そのルーツへと思いを巡らす、地理的、歴史的な大きな想像力。これは名作だと思います。



修行中青い鳥のつがひに会う (森の中の田んぼ)

ご本人が用事で退席された後の発表になりました。自句自解が聞けなかったので想像になってしまうけど、オレは男としてこの気持ち分かるなあ。オレもいつかつがひになってみたい、なんちゃって。薬夏さんから「つがひ」とするなら「会ふ」と仮名遣いを統一する方が良いとの指摘をいただきました。また、青い鳥は幸せの象徴との話も出ました。



ふるさとの夢やバナナと手榴弾 (楽来)


これは私の作品です。発表した時は上五が別の表現になっていましたが、皆さまの意見を聞いて変更しました。いい句になったな(自画自賛)。皆さんありがとうございます。


ーーー欠席投句ーーー

還りたい青いバナナの如き日へ (伽羅倶利)

下五が「如し日へ」となっていましたが、薬夏さんから、文法的には「如き日へ」が正しいとの指摘。ご本人不在でしたが、変えさせていただきました。参加者から、青いバナナは、まだ房にたくさんなっている状態のものではないか、という解釈がでました。確かに木になっているバナナを見ると、本当にたくさんの実が房になっていますね。私は、若い頃に戻りたいかと聞かれれば、微妙です。二度と苦しい日々には戻りたくないという気もするけど、やり直せるんなら…う〜ん微妙だな。



帰らずの人待ちわびて百日紅 (藤風)


百日紅とは「さるすべり」のこと。「ひゃくじつこう」という読みもあるそうで、長く咲き続けることが特徴の花です。もちろん幹も特徴がありますが、この句の場合には、時間の長さに意味があると思います。参加者の方々の感想では、「切ないなあ」というものが多かった。子供が親を待っているのかもしれない、という感想も。私は、誰かを待ちわびるという経験はないけど、そっちの方がめずらしいみたい。「帰らずの」の「ず」の表現に、いろいろ意味が込められてそうとの意見もありました。

最後は講師の薬夏さんの句。



をさなごのまなこバナナの熟れたる夜 (薬夏)


毎回、薬夏さんの句を発表する時は時間がなくて、今回も鑑賞する時間がとれなかったです。いつもすみません。私は、熱を出した幼子の、ねっとりとした涙で目を潤わせた姿を思い浮かべました。また、今度教えてください。





次回のお題


次回は8月13日(土)

題詠は 「原爆忌」「終戦記念日」「残暑」です。 ネフネの「ポレポレ俳句部」は、初心者の方でも気軽に参加できる会です。 毎月第2土曜日13:30〜開催しています。 講師は俳人の松本薬夏さん(→Twitter 開催場所:NEFNE



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楽来/俳句歴1年弱。俳句の場を提供してくれたNEFNEさん、薬夏さん、仲間たちに感謝。

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